ハンガリーのワイン

トカイワイン

トカイアスーと言うワインは、ハンガリーの中で最も有名なものです。ハンガリー国歌の歌詞にも歌われている程トカイアスーはハンガリー人に高く評価されているでしょう。
昔からトカイアスーの素晴らしさは学者など多くの人によって探求されていました。トカイの山には、金塊が埋まっているから美味しいワインができると言う俗説までもがあった程です。しかし実際にはトカイワインは天候・畑の様々の形・土地の成分、そして人の手による伝統的な栽培の仕方でユニークなワインになりました。

トカイワイン産地の特徴はなんですか。

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アスー化
世界各国のワイン産地では「ボトリティス・シネレア」と言う菌によってぶどうが腐ってしまいます。ところがトカイの気候によって、菌で腐るのではなく、アスー化と言う特殊な現象が起こります。
普通のワイン用のぶどうは房ごと収穫されますが、アスー化したぶどうの場合は1粒づつしか収穫できません。なぜなら、アスー化と言うのは徐々にしいくものだからです。

トカイワインはいつごろから生産されていますか。

トカイワインは17世紀にできたと言われていました。トルコ軍の占領によって、通常10月のぶどうの収穫が遅れて偶然にアスー化された粒も収穫され、ワインを作ったのが17世紀のことでした。ところが最近になって、古文書が見つかり、この中に「アスーワイン」は1571年にもうすでに作られていたことが書いてありました。

トカイで生産されているぶどうの種類

トカイ地方で生産されているぶどうの種類として、フルミントとハールシュレヴェルーが主流となっています。

65% フルミント
30% ハールシュレヴェルー
 5% シャールガ・ムシュコターイ

ぶどう生産されている畑の面積の割合は上記のようになっています。
フルミントとハールシュレヴェルーの特徴として、ぶどうの木の、低い地面に近いところから出ている茎も強いので、低いところの実もよく成熟し、アスー化しやすい状況が作られます。

トカイのぶどう畑

昔のトカイ地方のぶどう生産は、1ヘクタール当たり25000本もバラバラに植えていたので、苗も小さく育ちもあまり良くありませんでした。19世紀になってからは、ぶどうの木が大きく育つように、整列して植えられるようになったので、1ヘクタール当たり7000本まで減少し、さらに第二次世界大戦後、国営化され、機械化が進み、間隔も幅広く取られた為、1ヘクタール当たり2500本にまでなりました。
   最近では、また19世紀と同じように民営化してぶどうの生産も手作業になり、1ヘクタール当たり7000本に戻りました。

トカイワインの種類

クオリティーワイン
トカイでも、アスー化される前の普通のぶどうからクオリティーワインも生産されています。

サモロドニ
  サモロドニとは、ポーランド語で「そのまま」を意味しています。これはアスー化したぶどうが含まれている房を、房ごと収穫したものから作られたワインです。その時の糖分によって甘口も辛口もあります。

アスー
  アスーとは、ハンガリー語で「しなびた」と言う意味の言葉です。昔「アスーボル」と呼ばれたワインはトカイワインの中でも一番ユニークでしょう。製造方法は他のワインと異なります。

  1.摘み取られたアスー化されたぶどうをプットニュと言う特別な背負い桶に入れられ、すべての畑の収穫が終わるまで、そのまま放置されます。放置されることによって、ぶどう自体の重みで、自然に糖分を多く含んだはちみつのような液体が底に溜まります。
この液体が1リットル当たり700g程の糖分があるエッセンシアです。上に残ったぶどうの部分は「アスーテースタ」と呼ばれていて、アスーテースタは搾られた後の状態ではないので、貴重な成分が多く残っています。
  2.普通の状態のぶどうを搾ってぶどう液を作ります。このぶどう液にアスーテースタを入れて、12〜48時間寝かせて、その後に圧搾します。プットニュ一杯のアスーテースタは25kg、1樽のぶどう液は136リットル、1樽当たリのプットニュの割合でワインの等級が決まります。

 
アスーの中で3プットニョシュから6プットニョシュまでの種類があります。プットニュの数はあがればあがる程ワインは甘口になり、等級もあがります。

プットニュ      = 背負い置け
プットニョシュ  = ワインラベルにも表示されている言葉で等級を意味しています。

  3.寝かせた後圧搾します。こうして抽出したぶどう液をタンクか樽の中で発酵させます。この発酵は何週間、何ヶ月も掛かります。

 

 

  4.発酵の後でできたワインを木材の樽に入れられて、最低二年間放置されます。収穫の時から保存されたエッセンシアを途中で加えることによって品質が高まります。

エッセンシア

はちみつような液体ですが、そのままでも販売されています。
エッセンシアをトカイワインの品質を高めるためのもの、トカイワインを改良させるものと思って、ワインメーカーの一部では、販売を反対しています。

医薬品としてのトカイワイン

トカイワインは17世紀から、特に神経系や消化器系の特攻薬として知られていました。マリア・テレジア皇帝の医者も皇帝のために毎日トカイワインを処方しました。(マリア・テレジアはこのトカイワインと言う薬を良心的に飲んで、大好きなペットのオウムにも飲ませたそうです。)
最近の研究の結果としてトカイワインの医薬的な効果が明みになってきました。日本人、イギリス人、ドイツ人の学者も研究の目的でよくトカイエッセンシアを買っています。ハンガリーでエッセンシアの小さいボトルは土産品店だけでなく、薬局にもよく見られます。

ワインの王様、王様のワイン

歴史上、多くの芸術家がトカイワインを称えました。ベートーヴェン、ロッシーニ、シューベルト、ゲーテもトカイワインを大変好んで飲みました。フランス国王ルイ14世はトカイワインが王様のワイン、ワインの王様と語ったそうです。ナポレオン3世は毎年30〜40樽のトカイワインを注文しました。そしてトカイワインはローマ法王にも愛飲されました。たとえばベネディクト14世はマリア・テレジアからもらったトカイワインを次のように詩を残しました。

送ってくれた皇帝にも
生産地の人達や大地にも
飲んでいる私にも

神の祝福
神の祝福
神の祝福

 

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「セプシ」ワイナリー

 

トカイ地方の優れたワイン生産者の第一人者としてセプシ・イシュトバーンを紹介します。

マードのキラーイヘジ、聖タマーシュ山とセプシ・デュロー、全部で20ヘクタールのぶどう畑を所有しています。彼の土地は休火山にあり、ミネラルを多く含んだ火山砕屑物からできています。
セプシ・イシュトバーンはすべて木材の樽を使い、香り豊かなエレガントなワインを作り、トカイ地方で彼の製法は一番革新的と言えます。彼の活躍は、完璧で妥協を許しません。2001年にハンガリーで「最優秀ワインメーカー」に選ばれました。

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ヴィッラーニワイン

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ヴィッラーニ地方はハンガリーの最も南にあるワイン産地で、地中海性気候の地域です。
ここではローマ時代にもワインが生産され、13世紀のベーラ四世によって出されたお城の建設命令書にもワイン生産について述べられています。ぶどうの中でもカダルカと言う種類のぶどうが一番普及しています。カダルカは細菌に侵されやすく敏感ですが、良質のぶどうです。オスマントルコ占領時代後、村々の人口が減少し、ドイツの農民が移住し、彼らによってポルトゥゲーゼと言うぶどうの種類が持ち込まれました。

現在、ヴィッラーニにはカダルカ、ポルトゥゲーゼ、カベルネソヴィニョン、カベルネフランク等の赤ぶどうが普及しています。
ヴィッラー二の近くにあるシクローシュではオラスリズリング、ハールシュレヴェルー等白ぶどうが生産されています。

優れたワイン生産者

  ティッファーン・エデはハンガリーの有名なワイン生産者の一人で、ヴィッラー二で一番尊敬されている人です。彼のワインは1746年から家族によって代々製造されています。彼は1980年代から生産量をカットすることによって品質をまもっています。1991年にはハンガリーの「年のワイン生産者」に選ばれました。世界的にも認められ、日本、イギリス、オランダ、ドイツ等にも輸出しています。

ティッファーンの高級ワイン

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Carissimae (カリッシメー)
コパールと言うぶどう畑からローマ時代の遺跡が発見され、その墓石に最愛の女性を意味する「カリッシメー」と言う言葉が彫られていたことから名付けられた高級な赤ワインです。

Pinot Noir (ピノ・ノアル)
ハンガリー人にも人気があり、日本人の口にも合うと言われている辛口の赤ワインです。

Grande Selection (グランド・セレクシオン)
忘れられないエレガントな味わいの赤ワインは特別な祭日の際にのまれています。


エグリ・ビカヴェール

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エゲル地方のワイン生産は中世時代から始まりました。エゲルの町は司教が活躍した所で、宗教的に大きな役割を果たし、得に教会、修道士ためのワインがたくさん生産されました。
白ワインも赤ワインもありましたが、16世紀から「カダルカ」と言う赤ぶどう中心の生産が盛んでした。
エゲル地方で一番有名なワインは エグリ・ビカヴェールです。名前はハンガリー語で「雄牛の血」を意味しています。このワインは3〜4種類の赤ぶどうをブレンドして作られます。昔は「カダルカ」を中心とするビカウェールが典型的でしたが、最近「ケークフランコシュ」を基盤として使います。

「雄牛の血」の伝説

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1552年、トルコ大群がエゲルのお城を攻撃するためにやってきました。この時、トルコ軍兵士が8万人、それに対するエゲルの軍は2千人。ドボー・イシュトバーン軍隊長は、兵士を勇気付けるために、ワインケラーを開放し、赤ワインを振舞いました。兵士達は、大量に飲み、ひげや胸元に赤ワインが溢れ落ち、流れているのを目撃したトルコ兵が大変驚き、「エゲルの兵士達は雄牛の血を飲んでいる」と伝えました。

ガールのワイナリー

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ガールのワイナリーは、1993年に、イタリアのササッシャと言うワイン生産者、BMWアルピネのオーナ、そしてガール・ティボル、この3人によって創立されました。ガールはイタリアのトスカーナにワインの研究目的で働きに行き、エゲルに戻ってトスカーナでの経験を活かし、ワインを生産しています。彼は、エゲルの伝統的なワイン製法、最新技術、これから両方の優れた部分を融合し、発展させました。 ガールは1998年にハンガリーで「最優秀ワインメーカー」に選ばれました。2002年に、両陛下がハンガリーをお訪れになられた際、ガールは、特別に最高級のビカヴェールを作り、献上しました。

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